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2013年2月5日火曜日

大学教員の仕事

 大学教員としての仕事の本質は何であるのかを改めて考える。大学教員にとって、もっとも重要な顧客は、学生である。学生がなければ、教員ではありえないのだから。学生を顧客としないで、研究のみに没頭したいのであれば、研究所に就職すればよいのである。
 大学教員にとって、もっとも重要な顧客である学生の要望とは何か。それは、彼(彼女)らが、自分の将来を切り開いていく力を身に付けることである。場合によっては、(あるいは多くの場合には、)卒業証書さえくれれば、あとは何だっていいと認識している学生もいるだろう。ただし、卒業証書だけをもらって、大学卒業の資格をもっていても、世間の求める能力を発揮できない人は、職業人として生きていくことはできないし、失業してしまうこともあるだろう。自分で業をなすこともままならない。世界はグローバルな大競争の時代、国内では少子高齢化・成熟化経済の時代を迎えている。その世界で飯をくって生きていけるようになること。きっとそれは、「潜在的」な学生の要求なのではないだろうか。
 世間の現状は、実際に足を踏み入れてみなければ分からないものであるが、その片鱗に触れさせることは、大学教員にもできることである。それにもまして、ものの見方や考え方、行動や振る舞いについて訓練を重ねさせることは、大学教員の仕事であろう。学生にとって授業を受けることや研究活動は、そのことを視野に納めたものでなければならないと思う。また、大学は交友関係を広げる場所でもある。これについては、教員がとやかくいうよりも、学生同士の間で上手くやってもらうしかないだろうが。
 大学教員としての仕事は、学生に向かっている。そうでなければ、教員でなくてもよいのである。学生のことなんか構わず自分の研究にだけ没頭すればよいと思っている人が教員になっているのであれば、きっと大学をさって、研究所に籍を置く方が幸せに違いない。私自身は今現在、教員として活動しているのであるから、顧客である学生の成長を手伝うことに力点を置きたいと考えている。それが、少なくとも当分の間の私の仕事である。ま、その先のことは分からないけどね。
 

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