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2015年12月21日月曜日

ヤドリギ調査マップ更新:Mistletoe Explorer in Norfolk map updated

Mistletoe Explorer in Norfolk map updated
みちくさ部ヤドリギ班ノーフォーク支部のマップをアップデートしました。 #みちくさ部 #DetourClub #Mistletoe

http://bit.ly/1N9MVvX

2015年12月9日水曜日

「適材適所」でノーマライゼーションを進めよう

以下は、米国ニューハンプシャー大学の障がい研究所(Institute of Disability)発行の障がい者統計と人口動態;年次報告書2014による報告のまとめである。

  1. 米国の2010年の障がい者総数はSIPP調べで56,672千人(人口比18.7%)、また、、ACS調べで38,593.8千人(人口比12.7%)であるという報告もある。これらは日本の7,879千人(人口比6.2%)の約2-3倍に当たる。
  2. 2013年の米国の障がい者の51.9%は、就業人口にあたる18-64歳であり、40.3%は65歳以上である。18-64歳の障がいを持つ民間人の33.9%は職を得ているが、同じ年代の障がいのない民間人の74.2%よりも40.3ポイント低い
  3. また、雇用率は障がいの種類によって異なる。最も雇用率の高いのは、聴覚障がいの50.2%であり、視覚障がいの39.6%がそれに続く。最も雇用率が低いのは、身の回りの動作に関する障がい(Self-care)がある人で15.2%、独立した生活に限定性がある人で15.3%である。
  4. 米国の障がいを持つ16歳以上の民間人の年収の中央値は、20,785ドルである。これは、障がいの無い民間人の年収中央値30,728ドルのおよそ2/3である。障がい者の貧困率は、28.7%であり、障がいの無い民間人の16.6%よりも12.1ポイント高い。
  5. また、障がいのある人の肥満率は40.1%であり、障がいの無い人の24.9%よりも15.2ポイント高い。障がいのある人の喫煙率は25.4%で、障がいの無い人の16.2%より9.2ポイント高い。
 ひとつ大きな疑問を覚えるのは、障がい者比率の高さである。米国では、人口比で日本の2-3倍の障がい者がいるという。これは、障がいの定義の違いによるものなのか、また、認定方法の違いによるものなのか確認が必要である。また、この数字が他国(OECDなど)との比較では、どのような特徴を持つのかを整理していきたい。

 障がいのある人の雇用率は、障がいの種類によって一様ではないことが示されている。聴覚障がいでは、約半数が雇用機会を得ている。これらの障がいを職場で受容してきた経緯や、障がいを補う器具・装置の普及との関わりを把握したい。


 また、障がいのある人の肥満率は、障がいの無い人に比べて15.2ポイント高い。肥満は、肢体不自由や他の疾患の原因になる可能性が指摘されているため、予防医療による緩和措置が必要となる。これは、障がいにかかわらず一般の課題である。喫煙率もまた同様である。


 障がいは、雇用において負の側面を指摘されがちであるが、それによって、特定の能力を発揮するという正の側面の可能性にも目を捉えるべきである。

例えば、知的障がいのある人は、特定の繰り返し業務に対する集中力で高い生産性を発揮できる。視覚障がいのある人は、高い記憶力と考察力を発揮する。

「適材適所」により、高い生産性を発揮する環境を整理することは、工業化社会の文脈においても合理的であり、個々人の働く権利を満たす社会の仕組みを整理することになる。


そのためには、就業環境の設計について、障がいの有無で分けるのではなく、個々人が「できること」(生産性を発揮できる能力)をまず検討するべきだろう。その上で、勘案するべき事項を付加していくのが、合理的ではないかと考える。


SIPP; Survey on Income and Program Participation

ACS; American Community Survey

(参照) 内閣府平成27年度障がい者白書

Institute of Disability, University of Newhampshire Annual Report 2014 



Sugar Plum Bakeryを訪問しました。

 Sugar Plum Bakery(シュガー・プラム・ベーカリー)は、バージニア州バージニア
ビーチ市にあります。このベーカリーは、非営利企業として1985年に設立され、その2年後から操業を開始しました。当初から、知的障がいをもつ成人の雇用機会を作り出すことを目的としています。
入店するとすぐに、甘い香りに包まれま す。ここでは、ケーキや菓子パン、クッキー、サンドイッチなどなど豊富なメニューに、思わず目をキョロキョロさせてしまします。
 ケーキは、オーダーメイドとプレメイドの両方があります。アメリカのケーキは、様々な色に染めたホイップクリームでデコレーションすることが多く、子どもたちからも個性的な発注が届くようです。
このお店では、24名の社員がジョブコーチと一緒に、小売と製造のパートに分かれて働いています。勤務は、朝番と昼番に分かれていて、昼番が生地作りと焼き上げを担当し、朝番がデコレーションを行います。
 知的障がいの方々の働く機会として、ベーカリーを選んだ理由として、理事は多様な種類と程度の仕事を揃えられることを挙げました。

 製造は、生地を捏ね、焼き上げ、デコレーションすることが主な仕事になります。その他にも、皿洗いや設備と床掃除、箱の組み立て、ロゴ・ステッカーの貼り付け、用具の整理整頓、発注、在庫確認と製造計画など、多様な仕事があります。それらを社員が役割分担し、相互に協力をしながら行います。ひとつの仕事について、直ぐに責任を持てなくても、まずは手伝うという立場から取り組み始めることもできます。そのようにして、仕事をひとつずつマスターしていく機会を様々に用意できることが、ベーカリーのメリットなのだそうです。

ここでの、ジョブコーチの役割は、社員の仕事の習得程度と希望を踏まえて、作業配置の割り当てを行い、社員が一人で仕事を進められるように指導していくことです。4名の社員さんに対して1人のコーチが付き、作業をみまもります。
 ホイップクリームを絞りだす目は真剣そのもので、とても声を掛けられる雰囲気ではありません。みんな本物のベーカリーになるために日々研鑽を積んでいます。


 社員の皆さんの定着率は高く、家族の引っ越しや症状の都合以外で離職する例はこれまでにないとのこと。ベーカリーで働く意思と業務指示や段取りをこなせる能力、衛生管理の力があれば、雇用することになっているそうです。
 業績については、支出は売上によって賄っており、創業当初の数年を除いて黒字を続けているそうです。その他にも設立の趣旨に賛同する寄付金が毎年寄せられ、追加的な設備改善に当てられることがあるとのことでした。
 今回の訪問は、障がいのある方々の就業促進に関する実践事例調査の一環でした。事業目的の設定、就業環境のハード・ソフト両面の整備、人材の適正配置について、ノウハウの詰まった職場でした。

Sugar Plum Bakeryのビジネスモデルキャンバス