サンアクアTOTO(株)での産学合同インターンシップは、2日目を経過しました。この研修では、「体の動きに制限のある実作業者の立場に寄り添った改善提案をする」ということを重視しています。そのようなことは、障がい者雇用会社での研修なのだから、当然のことであると思えますが、特に身体上の動きに制限がない人は、そのことを忘れがちになります。
昨日の組み立て実習では、研修生は、まず実作業を自分自身の容易な姿勢でやった上で、この作業セルを担当する職員の方に近い身体条件とするために、車いすに座り、右腕にウエイトをつけ、指の関節にテーピングを巻いて握力を制限した形で組み立て作業を行いました。端から見学する時には、簡単そうに見える作業は、実際に取り組むと手際よくこなすことが簡単でないことが分かります。さらに、体に制限をもうけることによって、よりそれが明らかになります。この経験によって、改善提案を検討する際に、必要な条件を当然含めて考えることができるようになります。また、実作業に取り組む職員の方の気持ちを少しでも汲み取れるようになると考えられます。
この研修メニューは、共にこのプログラムを企画している守屋剛さん(東京エレクトロン(株)、NPO法人戦略的CSR研究会)のご指摘によるものです。昨年度の産学合同インターンシップでは、組み立て実習は行いましたが、研修生は自分の容易な方法での作業に取り組んだのみでした。研修最終日の改善提案の成果発表は、会社の社員の皆さんの前で行うのですが、研修生は自分たちの発案が、社員の皆さんに納得を持って受け入れられたという実感を持てなかったようでした。ことのことは、後に研修生に私たちが行ったヒアリングを通じて見えてきました。それはなぜだったのか。それは、私も含め、研修生が観察者の立場にしかなかったからではないか。相手に受け入れられる提案とは、実際にその機材や仕組みを運用することになる職員の方の立場で考えるプロセスを通じて、はじめて発案できるのではないか。もちろん、ご本人にはなれないわけですが、それに近づこうとする姿勢の中で得る気づきが下支えする発案でなければ意味が薄くなってしまう。その考えに基づいて、組み込んだのが本研修メニューでした。
2日目を終えた時点で、研修生チーム(2チーム、各4名)は、それぞれの対象とする作業セルと職員さんの業務プロセスをおおよそ把握するという段階に至りました。業務プロセスの中から、より安全で、生産性の高まりそうな課題箇所を取り出し、どのような改善が可能か、知恵を絞るのが3日目になります。どのようなアイデアが出てくるのか、私自身も検討しつつ、研修生を伴走しながら、検討を進めていくことになります。
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