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2021年2月6日土曜日

どうして誰か頼んだ仕事は思うようにできあがって戻ってこないのだろうか。

こんにちは。辻井洋行です。

「あてにするから はずれるんだよ」というのは、相田みつをの言葉です。また、「信頼しても信用するな」というビジネス慣用句があります。仕事を通じて関わる相手が、期待通りに動いてくれない。仕事頼んだのに、知らないところでサボっているといった世の中によくあることが思い浮かんできます。

どうしてそんな逸脱が起こるのか。モラルハザードが生じてしまうのかという問題を考える時に役立つのが、エージェンシー理論です。

「仕事を頼む人」とそれを「請け負う人」との間には、持っている情報の偏りがあります。そのために、請け負う側が、頼む側が思う通りの結果を出してくれるとは限りません。そのため、仕事を頼む側は、自分自身の利益を守るために、請け負う側を監視したり、管理するための苦労をしたり、思うように動いてもらうためのインセンティブを準備したりする必要が生じるでしょう。その加減をどのくらいに設定するのが合理的なのかを考えようというのが、この理論です。

だって、仕事を頼んだ相手が、仕事を期待通りにやってくれるかを心配して、ずっと見張っているわけにはいかないですよね。そういう過剰なコストを払わなくてもいいように、信頼関係を作ったり、依頼主の期待を叶えることが請け負う側にとっても利益になる仕組みを作る必要があります。

人に仕事を任せるのは不安なものです。小さなことをいうならば、例えば、ビールをグラスに注いでおくよう誰かにお願いするときには、ビールをこぼさないかなとか、泡の量がおいしい具合に加減されているかなということを思ってソワソワしてしまうものです。(ぼくだけ?)その作業を頼まれる方も、そんなことよりは、誰かとおしゃべりしていたいかもしれませんよね。そこに、両者の間の利害対立が生まれます。

依頼する側は、不安を払拭するために、じーっと横で見つめていることができます。しかしそれでは、自分の緊張感は高いままだし、見られている相手も緊張して思わず手元が狂ってしまうかもしれません。(笑)

むしろ、上手なビールの注ぎ方を手本として見せたり、何度か練習させることによって、完成度のブレを小さくし、期待値を高める準備に時間をかけることで、不安は払拭できるでしょう。

このように、エージェンシー理論は、仕事を頼む側(プリンシパル)の利益を守るため工夫について検討します。ただ僕自身は、仕事を頼むのであれば、ある程度の説明をした上で、相手に任せて、やりよう遠くから見守る位が良いのではないかと思っています。特に、致命的な大損害が生じるわけでもないような仕事には、頼む側が大きな度量を持って、請け負ってくれる相手との距離感を保つことが、良好な精神状態をお互いに保っていられるように思います。



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