こんにちは。辻井洋行です。
大学3年生向けのキャリアプランニングの授業では、「課題解決型人材として就活できるようになろう」という学習達成目標を立てています。その根本にあるのは、「人材への対価は、課題解決への報酬として支払われる」という考え方です。採用側からみれば、会社に貢献してくれるかどうかが採否の分かれ目となります。
では、企業が抱える解決すべき課題は、どうやって知ればよいのでしょうか。わたしの授業では、上場企業であれば有価証券報告書の「 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」と「事業等のリスク」欄を読んで、掴んでもらうようにしています。有価証券報告書は、株主に対して経営状況を報告するためのものであり、虚偽の内容を書いてはならないものです。従って、そこに書いてあることは、対象企業が認識している自社の取り組むべき課題やリスクであるということになります。
受講生は、その前段として、ビジネスモデル・キャンバスを使って、自分自身の事業モデルを整理し、それを実現しつつ課題解決に貢献できる企業を探し出すことになります。
このカリキュラムを通じて時々見つけるのは、上の欄に課題らしい課題やリスクらしいリスクを記入していない企業があることです。場合によっては、「取り組むべき課題に大きな変化はない」という内容の無い記述です。
今日、どんな産業界や個別企業においても、取り組むべき課題がないとは考え難いものです。その記述がないということは、課題を積極的に認知していないということになります。また、株主総会において、そのような内容の有報が承認されているとすれば、いよいよチェック機能が働いていないということかもしれません。受講生には、ちょっとその会社については、慎重に考えた方がよいのではと助言することのあります。
求職サイドの大学生が、気合いで頑張ります!という気持ちの強さや愛嬌の良さだけで職を得ようとしても、同じことを自己PRにする競争相手が多すぎるので、採用面接に漕ぎ着ける前に仕分けられてしまいます。具体的なスキルで不利な大学生でも、物事の捉え方や課題解決へのアイデアを示すことはなんとかできるでしょう。他の競争相手とは、すこし違う姿勢で就活に取り組むための準備を手伝っているのです。
あとは、受講生が、この授業で取り組んだ訓練を実際に活用してくれることを願うばかりです。また、課題解決の集団である企業であれば、そのビジョンを持つ人をどんどん採用して行ってもらいたいと思います。
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