こんにちは。辻井洋行です。
世の中には、キャラの立っている人がいるように、企業やNPOなど組織にも、キャラの立っているもの、誰もの知っているものがありますが、何が違うのでしょうか。この問いに1970年代から取り組んだのは、カール・ワイクという組織心理学者です。
センスメイキングというのは、行動や体験に意味を与えるという意味であり、私たち個人も、それを何かをした後に振り返りを行うことで、体験を経験へと昇華して行きます。また、これまでの経緯を踏まえつつ、これから取り組んでいく行動にも意味を与えるということもあります。それによって、当人だけでなく、他のメンバーや周囲の個人や組織の認識に影響を与え、活動に巻き込んでいくのが、センスメイキングを効果的に取り組む組織の特徴といえるでしょう。
センスメイキングは、プライベートなことというよりは、むしろ、より多くの個人や組織に関わる普遍的な価値に関することを含みます。社会学には、「大きな物語(Grand narratives)」という言葉がありますが、自他が共に「そうだよね」と腹落ちし、「当然そういう方向へ進むよね、進んでいくべきだよね」と納得することによって、その発信者は、求心力を持つようによります。
キャラ立ちしている組織は、リーダーだけでなく、メンバーがそれを共有し、その大きな物語の実現に向けて行動を起こし、内外のステイクホルダーに影響を与え、さらにその周りにも伝播していくことになります。その流れの中で、震源となる会社やNPOの組織がのキャラが立ち、誰もが知る存在になっていきます。
このセンスメイキングは、社会の混乱や市場・技術の急速に変化し不安定な状況になるほど、有効性を発揮します。組織を構成する個人は、物事を判断し行動に移す時には、合理的であろうとしながら、限定的な視野や情報の範囲で考えざるを得ません。そういう個人の性質ゆえに、混乱の時代にはセンスメイキングが重宝されるのかもしれないですね。
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