こんにちは。辻井洋行です。
今回は、私たちの行動結果が同じにはならないという事について考えてみたいと思います。
学校の試験や技能検定、会社の営業成績などなど、同じような業務に取り組んでも、その結果は、大抵の場合に正規分布します。正規分布というのは、最も多い点数(偏差値50)を中心に、なだらかなカーブを両辺に向かって伸ばしていくような釣り鐘型のグラフを描く状況のことです。
人の行動や社会的な現象は、このグラフの中に収まるような傾向を示します。もちろん、対象とする人の数が少なければ、グラフの 偏りは生じることになります。ほとんどの人は、このグラフの真ん中あたりに位置する行動の結果を示します。
一方で、極端な結果和の人たちは、グラフの両辺に位置する結果を示します。成績の結果が極端に良い人はグラフ向かって右側に、反対に極端に悪い人は左側に位置します。来週には大学入学共通テストがありますが、テスト成績偏差値の高い人低い人は、このグラフの右側か左側に偏っているということになります。
新型コロナ感染症対策については、マスク着用と手指消毒を行うことが有効であるとされています。また大人数での会食を避けるといった行動も同様です。これらの行動がどの程度徹底されているかということについては、標準的な人たちは、この正規分布の真ん中あたりに生きて一致しているはずで、感染を結果的に免れているということになるでしょう。
ただし感染症対策についても、これは社会現象なので、どの程度徹底しているかという個人の行動については、取り組み程度の強弱があるはずです。誰よりも偏執的に取り組んでいる人たちはグラフの右側に、ほとんどノーガードの状況の人は左側に寄っているということになるでしょう。
日本は、自由主義の国であり、法律によって個人の行動を制限し罰則を与える事柄の範囲を小さくしている国です。法律で制限を行えることにより、グラフを全体的に右寄りへシフトさせる事は可能ですが、そのためにはそれなりの社会的コストを伴います。それは個々人の行動の不自由さであり、経済的コストでもあります。行政ではその選択をしようとしているわけですが、その良し悪しについては、私自身が評価し慎重に考える必要があると思います。
厳しい行動制限を行うような法律が施行されることにより、感染予防の行動の底上げにはなるはずですが、必ずその行動の強度については、釣り鐘型のグラフで表される結果を生じることになる事も踏まえておく必要があるでしょう。その原因は、個々人の価値観の違いや、受け取っている情報量の違い、また条項に反子対する理解や、感度の違いによるものです。そういった違いが、個々人の行動の差を生み出すことになります。
個々人の行動はコントロール可能のように思えて、大きく社会として見渡せば、それがなかなかうまくいかない。人もやはりまた自然の一部なのだということを改めて感じさせられます。
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